百万人の山と自然 実技講座 静岡 日本平
SMNGA 事務局の佐野です。
先月、静岡市の日本平で開催しました、『百万人の山と自然 実技講座』の様子です。

改修工事中の、草薙運動場では、沢村栄治とベーブルース像が迎えてくれます。
公園内にも、スダジイ、アラカシ、ウバメガシ、ヤマモモ、ケヤキなど、里山の代表的な植生である照葉樹の木々が植えられています。住宅地をぬけて、かつての平澤観音への参拝路であった道を歩くと、道標などが、街路樹や電柱の影にひっそりと佇んでいました。
東名高速の高架をくぐり、ゆるやかな坂道を登りすすむと、静岡の市街地を見渡せる丘陵地に出ます。周囲が茶畑へと変わってゆきます。静岡の里山を代表する景色です。

晴れていればここから富士山が望めるのですが、残念ながらこの日は見えませんでした。
梅雨の合間のこの日は、気温も湿度も高く、熱中症に十分注意しなくてはいけません。スポーツドリンクなどで適度に水分補給をして戴きます。
ここから、日本平の山頂は望めますが、一旦高度を下げます。谷状になっている竹やぶから、気持ちの良い風が吹き上がってきます。地元のお客様から、昔この場所を『吹上』と呼んでいたとお伺いしました。幼い頃、『吹上まで走っておいで!』などと言われ、この丘を駆け上がってきたそうです。
しばし吹上からの風に吹かれて涼みながら進むと、舞台芸術公園にでます。

立派な設備です。しかしそれよりも、その敷地の中に残る、スダジイの大木が何本も残る一角。ここの景色こそ、この日本平の古来からの景色なのです。有名な屋久島などの原生林に負けないくらいの雰囲気が残っています。

平沢観音の石段を登ってゆきます。石段の脇には、カンアオイの葉が見られます。アリに受粉を手伝わせるために、土の中に花をさかせる不思議な植物です。

石段を登りきると、本堂があります。ここにも石塔についた太古の生物、地衣類のお話を聞きます。今回は地図を見ながら歩く事が目的ですが、やはりそれだけでは、面白みに欠けます。地図に植生に歴史と盛りだくさんの内容です。

再び、古道の山道に戻ります。背丈より高い切通しには、丸い河石が堆積している様子が見て取れます。

しばし進むと、これまでの古道が一変、人工的な緑色の空間が、右手に広がります。ゴルフ場です。ネットに遮られ、鮮やかな芝生の空間。一見美しいような・・・でもやはり山に慣れ親しんだ私たちにとっては、違和感のあるグリーンです。ゴルフを楽しむ人たちを横目に、最後の坂を登ります。まもなく頂上です。日本平の頂上は、観光地として、多くの人々が訪れます。しかし私たちの様に、下から歩いて登ってくるのはごく少数ではないでしょうか?
思い思いに山頂で昼食をとり、馬走ルートで草薙神社へ向かいます。
尾根道を歩いていると、鋭い針を持つ植物に出会います。アリドオシです。

『千両、万両、有り通し』 と言われ、縁起物とされていた植物ですが、センリョウ、マンリョウは盗掘などで随分少なくなっている一方で、いつしか忘れ去られ、この尾根には沢山群生していました。蟻の胴をも貫ける様な細い刺で、蟻通しとも言われているようです。
尾根は突然終わりを向かえます。道が通され、開かれた土地には住宅地が広がっています。果樹園の向こう側に、かつての尾根のつながりが残っています。ここがつながっていた事も、地形図を見ることで容易に理解できます。
ここからはアスファルト道です。山道とのギャップで途端に疲労感を覚えます。
草薙神社には、有形文化財の龍勢花火の展示がなされています。

いよいよ本講座もクライマックスです。よろいづか古墳に立ち寄ります。
小さな公園には2つの古墳があります。縦穴式の古墳は既に古い時代に盗掘され、今は何も眠っていません。しかし、かつてこの様な巨大な墓を作ってもらった人物とは、どのような功績を残した人物だったのでしょう。何千年、何万年という時を超え、形の残るものとは本当に素晴らしいものですね。

この古墳で、実技講座は終了となります。
皆さんと、この日歩いた道を地形図上でもう一度辿り、おさらいします。
1万分の1地形図によって、地図を見る楽しさを、知って戴いた方が大勢いらっしゃいました。
持っているだけではもったいないですね。また地形図を持って、山を歩きましょう。
先月、静岡市の日本平で開催しました、『百万人の山と自然 実技講座』の様子です。

改修工事中の、草薙運動場では、沢村栄治とベーブルース像が迎えてくれます。
公園内にも、スダジイ、アラカシ、ウバメガシ、ヤマモモ、ケヤキなど、里山の代表的な植生である照葉樹の木々が植えられています。住宅地をぬけて、かつての平澤観音への参拝路であった道を歩くと、道標などが、街路樹や電柱の影にひっそりと佇んでいました。
東名高速の高架をくぐり、ゆるやかな坂道を登りすすむと、静岡の市街地を見渡せる丘陵地に出ます。周囲が茶畑へと変わってゆきます。静岡の里山を代表する景色です。

晴れていればここから富士山が望めるのですが、残念ながらこの日は見えませんでした。
梅雨の合間のこの日は、気温も湿度も高く、熱中症に十分注意しなくてはいけません。スポーツドリンクなどで適度に水分補給をして戴きます。
ここから、日本平の山頂は望めますが、一旦高度を下げます。谷状になっている竹やぶから、気持ちの良い風が吹き上がってきます。地元のお客様から、昔この場所を『吹上』と呼んでいたとお伺いしました。幼い頃、『吹上まで走っておいで!』などと言われ、この丘を駆け上がってきたそうです。
しばし吹上からの風に吹かれて涼みながら進むと、舞台芸術公園にでます。

立派な設備です。しかしそれよりも、その敷地の中に残る、スダジイの大木が何本も残る一角。ここの景色こそ、この日本平の古来からの景色なのです。有名な屋久島などの原生林に負けないくらいの雰囲気が残っています。

平沢観音の石段を登ってゆきます。石段の脇には、カンアオイの葉が見られます。アリに受粉を手伝わせるために、土の中に花をさかせる不思議な植物です。

石段を登りきると、本堂があります。ここにも石塔についた太古の生物、地衣類のお話を聞きます。今回は地図を見ながら歩く事が目的ですが、やはりそれだけでは、面白みに欠けます。地図に植生に歴史と盛りだくさんの内容です。

再び、古道の山道に戻ります。背丈より高い切通しには、丸い河石が堆積している様子が見て取れます。

しばし進むと、これまでの古道が一変、人工的な緑色の空間が、右手に広がります。ゴルフ場です。ネットに遮られ、鮮やかな芝生の空間。一見美しいような・・・でもやはり山に慣れ親しんだ私たちにとっては、違和感のあるグリーンです。ゴルフを楽しむ人たちを横目に、最後の坂を登ります。まもなく頂上です。日本平の頂上は、観光地として、多くの人々が訪れます。しかし私たちの様に、下から歩いて登ってくるのはごく少数ではないでしょうか?
思い思いに山頂で昼食をとり、馬走ルートで草薙神社へ向かいます。
尾根道を歩いていると、鋭い針を持つ植物に出会います。アリドオシです。

『千両、万両、有り通し』 と言われ、縁起物とされていた植物ですが、センリョウ、マンリョウは盗掘などで随分少なくなっている一方で、いつしか忘れ去られ、この尾根には沢山群生していました。蟻の胴をも貫ける様な細い刺で、蟻通しとも言われているようです。
尾根は突然終わりを向かえます。道が通され、開かれた土地には住宅地が広がっています。果樹園の向こう側に、かつての尾根のつながりが残っています。ここがつながっていた事も、地形図を見ることで容易に理解できます。
ここからはアスファルト道です。山道とのギャップで途端に疲労感を覚えます。
草薙神社には、有形文化財の龍勢花火の展示がなされています。

いよいよ本講座もクライマックスです。よろいづか古墳に立ち寄ります。
小さな公園には2つの古墳があります。縦穴式の古墳は既に古い時代に盗掘され、今は何も眠っていません。しかし、かつてこの様な巨大な墓を作ってもらった人物とは、どのような功績を残した人物だったのでしょう。何千年、何万年という時を超え、形の残るものとは本当に素晴らしいものですね。

この古墳で、実技講座は終了となります。
皆さんと、この日歩いた道を地形図上でもう一度辿り、おさらいします。
1万分の1地形図によって、地図を見る楽しさを、知って戴いた方が大勢いらっしゃいました。
持っているだけではもったいないですね。また地形図を持って、山を歩きましょう。