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宝永山

水ヶ塚駐車場(もしくは須山浅間神社)から登る「富士山須山口登山道」です。
緑の森をぬけ原生林を登り宝永火口群の脇を通って、富士宮口登山道六合目に至る登山道です。
年々マイカー規制が延長されますが、富士宮口のメインの駐車場が水ヶ塚駐車場。
水ヶ塚駐車場の道路の反対が登山口

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南口とも呼ばれていました。富士山の登山道の中でも一番激しく変化をしたところです。
登山道としての始まりは808年(大同3年)と言われ、江戸時代の初期には年間5千人を超えたことも多くあったと記録されています。1707年(宝永4年)の宝永大噴火により、須山口五合目が大噴火、登山道が消滅してしまいました。

一合目水ヶ塚駐車場から登り始めて二合目あたり。傾斜がきつくなり始めます。

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1707年(宝永4年)の宝永大噴火の後、約70年後に登山道は復活します。1883年(明治16年)に御殿場口が出来て、須山口2合8勺に連結。1889年(明治22年)に東海道線の開通により、駅から近い御殿場口がにぎわうようになり、須山口は衰退します。

シロバナノヘビイチゴの群落です。

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その後、1912年(明治45)に旧陸軍の演習場として接収され、再び須山口登山道は廃道となりました。

御殿庭中(ごてんにわ、上、中、下とあります)三合目です。ここから宝永第三火口目指して樹林帯を抜けるルートは、不明瞭な個所があります。ルート全体に指導票はしっかり整備されていて道もはっきりしていますが、ここは要注意です。

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1994年(平成6年)、須山口復興の気運が盛り上がり、登山道整備に取り掛かりました。そして1997年(平成9年)、須山口登山歩道が完成し、85年ぶりに須山口が復活することになりました。1999年(平成11年)には須山口下山歩道が完成、現在の須山口が形成されました。

宝永第三火口の底から第二火口の縁を見ています。ずっと樹林帯の中を登ってきたので、いきなりのオープンエアーと噴火口のシャープな曲線には驚きます。迫力があります、素晴らしい景色です!

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宝永第二火口と宝永第一火口の縁。火山礫の歩きにくい登りが始まります。

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宝永第一火口。やはりここが一番大きい火口です。左上しているトレースは馬の背に向かいます。火山礫で足元が常に定まらない登りにくい登山道です。でもコツはあります。少し蹴り気味に登山靴の底全体を火山礫に押し付け、小股でリズミカルに登ることです。

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馬の背です。宝永山の山頂は5分くらいです。正面は御殿場口の下山ルートです。

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宝永山山頂の方位盤。馬の背からすぐで、なんかあっけない感じの山頂ですが、裾野を見下ろせば爽快です。

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下りは御殿場口の‘大砂走’を下ることをお勧めします。下りですから、柔らかい砂礫がとても優しく感じます。なにより面白いくらいにどんどん下れます。ここで、富士山で一番最後の側火山の植生にも出会えます。オンタデ、フジアザミ、メイゲツソウなどがたくさん見られます。
宝永山、最短は富士宮口五合目からですと2時間ぐらいで登れます。おすすめは、宝永火山のダイナミックな景色が楽しめる、須山口か御殿場口から登るものです。

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須山口登山道の歴史は静岡県裾野市観光協会の資料を参考にしました。
韮崎の三上でした。

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Author:SMNGA
SMNGAとは、静岡山岳自然ガイド協会という、主に日本国内の山岳エリアをご案内する、プロのガイド組織です。当会の会員は、公益社団法人 日本山岳ガイド協会の認定ガイド資格を持ち、全国の山々をご案内しています。そんな私たちの活動、山行レポートや、プライベートネタ等、ご紹介してゆきます。

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